2021年4月30日金曜日

【偽りの平和主義と戦う 第3回】補足:許される独裁者の要件

 第3回本文で、「知能を持たない人」を、政治の場から排除するために、一部「独裁」を取り入れて政治をするのは許されると説明しましたが、その「知能を持たない人」というのは主に大きく2つに分けられます。

1.未成年
2.発展途上国などで、教育を受けていない人

唐突に、「知能を持たない人」というと、何か差別を行っているのではないかとお思いになるかもしれませんが、そういう訳ではなく、具体的には上のような人たちを、まとめて「知能を持たない人」と表現させていただきました。全く頭が働かないような人々ではなく、先進国などにおける十分な水準の教育を完全に受けていないような人々を指しているのです。

1についてですが、成人年齢は国によって異なります。教育方法などについても、各国で結構差があるのではと思うので、別に、「成人年齢(選挙権年齢)が高い国ほど、選挙権をより多くの人に与えない独裁国家に近い国だ」という考えは当てはまらないと僕は思います。

その上で、2についてですが、実際に発展途上国では、十分な教育を受けていない人が多く、彼らの意見を聞いても収拾が無いため、あえて独裁を取り入れているということもあります。これを開発独裁と言います。でも、たとえ開発独裁でも、結局その目的は国を良い方向に傾かせることなので、次のことがなされるべきです。

1.指導者は、責任をもって(独裁)政治を行うこと
2.指導者は言論の自由など人権を弾圧しないこと

まず、いくら独裁が許された指導者でも、何のためにそれが許されているかと言えば、国を良い方向に傾かせるためです。国民はそれを託して指導者に独裁の権限を許したのです。もし、その指導者が目的を達成できないのであれば、そいつは指導者の地位を降りるべきなのです。

そして、独裁は許されても、言論弾圧などは許されません。「知能を持たない人々」が社会を悪い方向に傾かせるなんてことはありません。よく、独裁が許されたなら言論弾圧も許されるなんて言う者どもがいますが、それは大きな間違いです。いくら相手が知能が無くても、それを理由に弾圧が許されましょうか。いや、許されません。独裁者には自由まで否定する権限はどこにも持っていないはずです。

しかし、第3回本文でも説明した通り、上の1と2の要件を満たして「独裁」を行っている指導者は本当に稀です。多くは、独裁が許されるなら言論弾圧もして良いという身勝手な解釈の下、国を良い方向に傾かせるという名目の下、自分の地位を維持するために人々の声を弾圧しているのです。

(2021.3.15)


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