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2023年5月6日土曜日

国際情勢の今後を「予想」する作業にどれほどの意味があるのだろうか【未来ノートコラムA・第20回】

 ロシア軍がウクライナに侵攻して戦争が始まって以来、世論は世界情勢が自分たちに与える負の影響をいっそう憂慮するようになった。戦争や国際関係が直接日本に与える安全保障のリスクは当然のこと、これらはエネルギーや物資の価格など、人々の日常生活にも経済的な面で大きな負荷を与える可能性が高い。その流れの中で、人々の国際ニュースへの関心が高まっていく。

ウクライナ戦争について解説する有識者の中には、この戦争の将来の展望をある程度予想するような人がいる。このような国際情勢の展開の「予想」は、上述のように国際情勢の影響の自分たちへの波及を憂えている人々を中心に、多くの人の関心を集めやすい。だが、関心の高い事柄であるからと言って、そのような識者たちの「予想」が概ね本当に信頼に値するものなのかどうかは、別の論点の話だ。

2023年2月24日金曜日

ウクライナ侵攻開始から1年 「不当な平和」を考える【未来ノートコラムB・第15回】

 本日2月24日は、昨年のこの日、ロシアがウクライナへ侵攻を開始してからちょうど1年が経つ。現代において稀に見る国家と国家との間の全面戦争。その実態は、カメラを通して平穏な日々を過ごす日本の我々にも届けられた。私も含め、人々が戦争と平和、あるいは自国と世界の安全保障について大きく考えさせられるきっかけとなった。

ロシアは当初広い方角からウクライナ国土の占領、そして非武装化すなわち全面降伏を図ったが、開戦初期の両軍の作戦の成否など様々な要素や、欧米などのウクライナへの支援によって、ウクライナは当初占領された地域の一部奪還に成功し、現在戦線は膠着状態だ。一方、ウクライナとロシアとの和平交渉は、戦争開始直後から何度も行われてきたが、停戦・和平が締結されるには全く至っていない。

戦争は1年経った今もなお続いている。我々はこの戦争、いや現在進行中の歴史の出来事から何を学べばいいのだろうか?その答えにたどり着くためにすべきこととは何なのだろうか?少しでも賢明な答えを見つけるべく考えていく。

2023年1月24日火曜日

同一性を示すのに意味は無い【未来ノートコラムA・第18回】

 民主主義を通じて政治的な議論を効率よく進め、共同体において共同の結論を出すためには、いくつか意識しておかなければならないことがある。

その一つが、「同一性を示すのは無意味」ということだ。具体的にどういうことだろうか。

例えば、ある人物が、リンゴを見て「このリンゴはイチゴのように赤い」と主張したとする。つまり、「リンゴ≒イチゴのような赤さ」と言っているわけだ。それに対して、別の人物は「いやいや、イチゴの赤みというのはもっと鮮やかだ。このリンゴはイチゴではなくむしろイチジクの赤みを持っている」と主張する。そうしてある一つの命題を巡っての対立が起こる。

2023年1月6日金曜日

混沌世界と凡人科学【未来ノートコラムA・第17回】

 事実認識を整えるのは非常に難しい問題だ。前提として、世界は常に多種多様な事象が途切れることなく連続的に発生しており、因果関係が至る所に存在する。それはまるで植物の「根」のように複雑で、秩序が無く、そして捕捉するのが難しい。それでも人類は、いにしえの時から何とかそれを秩序付けようと、観察、実験や思考実験などを経て、科学を発展させてきた。

そうして、この混沌とした「根」の集合体であるこの世界を細部まで分解しながら観察し、現代の科学はここまで発展してきた。ここにおいて、現代の科学は、本質的には「根」のように混沌している世界を、どうにか秩序を持つ「木」のような構造に組み直そうとした試みによって成立していると言える。しかし、数千年の時を経て、人類が科学の核心へ迫るに迫るうちに、せっかくつくった「木」の構造さえも、いつの間にか「枝」のような混沌とした構造に戻ってしまった。

2022年12月19日月曜日

安全保障と民主主義 その2【未来ノートコラムB・第14回】

2022年も終わりに近づいている。本ブログ「未来ノート」では昨年と同様にこの12月に日本と世界とを巡る安全保障情勢の総括記事を書こうと思う。昨年の記事では、世界情勢に関連して、新冷戦、民主主義の優位性などについて述べた。今年いちばんの国際社会に影響を与えた出来事は、ロシアによるウクライナへの侵略だ。今年は、これらの出来事の経緯を踏まえたうえで、日本が採るべき安全保障政策の具体像に迫ってみよう。

2022年11月12日土曜日

Twitterどうなる?【未来ノートコラムB・第13回】

先月28日に大手電気自動車会社テスラのテクノキングであるイーロン・マスクCEOが、Twitter社の買収を完了し、企業およびサービス運営の改革に乗り出した。Twitter社は元来収入性の低い企業であり、2020年度から2021年度の決算は2年連続で赤字を計上していた。そのため、マスクは認証バッジの有料化や社員の半数(約3700人)解雇に取り組み、資金繰りの改善を試みた。

しかし、マスクがTwitterを買収して以降、その企業・サービス改革をめぐる経営混乱が続いている。11日には、マスクは社員に対してTwitter社の「倒産」があり得ることを警告し、社員に現状の打破への協力を求めた。買収が成立して約2週間だが、なぜこれほどまでに経営に関して不穏な空気が漂っているのか。

2022年9月25日日曜日

リベラル民主主義とは何のためにあるのか【未来ノートコラムA・第16回】

結論から先に言えば、それは人間社会が人民の意志によって暴走しないための、防波堤である。

リベラル民主主義は、単純な通常の「民主主義」が国家の政治体制の言い方として使われるのに対し、民主主義国家内で、より「自由」「人権」を重視する政策に関連して使われることが多い。だから、反独裁政治、反共産主義というよりは、反人権侵害的なイデオロギー・政策を掲げるものが見られる。当然程度の差はあれ、「人権侵害」というのは民主主義国家でも起こりうることだ。だからリベラル民主主義は民主国家内でも積極的に活動する。

2022年8月28日日曜日

中国と日本の政治問題をめぐる遠藤誉氏の記事の書き方への疑問【未来ノートコラムB・第12回】

SNSに書こうと思ったが、長くなりそうなのでウェブログの方に記すことにした。

Yahoo!ニュース個人(遠藤誉):旧統一教会が牛耳る「日本の選挙の民主」と「中国の民主」_中国「わが国は民主的だ」世界ランキングで1位

まずはこの記事を読んでほしい。

満洲で生まれ、中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授を務め、中国や世界情勢を巡る国際政治の諸問題を研究する遠藤誉氏は、この記事において、日本の国内の政治問題と中国の政治問題をグローバルな調査を元にして、最終的に旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合、以下通称「統一教会」)と関わりが深い状態にあった日本の政治や選挙システムを批判している。

2022年7月28日木曜日

黄金の三年間と自民党の選択【未来ノートコラムB・第11回】

黄金の三年間と自民党の選択

安倍元首相が銃撃され殺害された事件。容疑者は、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合、以下通称「統一教会」)のカルト的手法により母親が信者になり過剰な献金が強いられたことで家庭が崩壊し、統一教会を恨むようになり、そしてその恨みが安倍氏への恨みへと変化し、犯行に及んだとされている。

もちろん容疑者の行為が人道に外れた凶行であることは動機がどうであれ変わらず、事件を称賛し、容疑者を擁護し英雄視する層が一部にいることには危機感を感じる。ただ一方で、自民党の議員が選挙の際の集票組織として、思想的にも友好関係にある統一教会を人海戦術で用い、統一教会にカルト商法への「お墨付き」を与えていたことは大いに批判されるべきである。

2022年7月18日月曜日

安倍元首相殺害と参院選の結果の考察【未来ノートコラムB・第10回】

10日に執行された第26回参議院議員通常選挙の選挙運動のさなかの8日、奈良市近鉄大和西大寺駅前で自民党候補の応援演説をしていた安倍元首相が銃撃され、その後亡くなった。日本、そして世界に衝撃が広がる中で執り行われた参院選は、その後各メディアの予想通り自公政権与党の勝利で終わった。

この記事では、まず安倍氏の銃撃暗殺事件、そしてこの参院選挙の結果から、今後起こり得ることや私の価値観について記述していきたい。

2022年5月5日木曜日

中国ゼロコロナ政策の限界と寡頭政治の限界【未来ノートコラムA・第15回】

中国随一の金融都市上海では、先月5日にCOVID-19の新規感染者数が1万3000人を超える高い水準となり、同日に都市全体の住民約2500万人を対象としたロックダウン(都市封鎖)を開始した。しかし、この感染者数1万人程度の数字は、諸外国の数字と比べてそこまで高いわけではない。例えば、日本は当時第7波のピークを迎えていたが、同日の全国の感染者数は4万5684人となっており、上海のそれより3倍以上多い。

しかしながら、現状、感染者数の少ない上海の方が、ロックダウンという強力な措置で防疫を図っている。この背景には、中国と諸外国とのCOVID-19政策の根本的な相違点というのがある。

2022年4月17日日曜日

純粋な正しさへの道【未来ノートコラムA・第14回】

今年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻の戦争は長期化している。それに対して、ロシアが戦争を始めたことを糾弾する反戦デモなどの反戦活動が日本を含め世界各地で催されている。みな「戦争反対」などと声を上げている。あるいは、この機に改めて「戦争は悪だ。絶対悪だ。」ということを啓発しようとしている人もいる。

ただ、この「戦争は絶対悪だ」などというある種の「命題」を、何か学術的なアシストもなくただただ唱え続けるのは、私としては抵抗がある。それは私が戦争を肯定する者だからとかではなく、あらゆる命題・言説に関して、これらを肯定する場合、全ての人が一旦その根拠を知ってみることが必要だと感じているからだ。つまり、ここでは戦争はなぜ絶対悪なのか、という理由を記していき、更にそこから発展して議論を深めていきたいと思う。

2022年3月24日木曜日

ロシアのウクライナ侵攻に対する諸考察【未来ノートコラムB・第9回】

 先月24日、ロシア軍がウクライナに侵攻した。その日、プーチン大統領はウクライナの非軍事化、中立化、非ナチ化を掲げてウクライナ領内に軍を侵攻させたのだ。彼は決して戦争を行うとは言っていないが、現代においてはこれが宣戦布告である。非軍事化とは、ウクライナ軍を制圧すること、中立化とはウクライナの外政を掌握すること、そして非ナチ化とは現ゼレンスキー政権を打倒することである。

21世紀において国連に加盟するような国家と国家が全面戦争を行うのは、だいたいイラク戦争以来ということになるのではないか。しかも、これはれっきとした「民主主義国家」へ向けられた侵略だ。ウクライナは決して豊かで安全な国とは言えないが、今まで平穏な日々を過ごしてきたウクライナ国民が突然の侵攻により国外への難民となって苦しい生活を強いられるようになったのがテレビに映し出され、衝撃を感じた人も少なくないだろう。

2022年3月9日水曜日

ロシア軍によるウクライナ侵攻【未来ノートコラムB・第9回補足情勢記述】

▲この記事は2022.2.24から2022.3.9にかけて即時的にロシア軍のウクライナへの全面侵攻について実況したものです。侵攻14日目を以てして更新は終了となりました。

▲緊急の編集のため、具体的な情報の出典は省略しているところがあります。

▲緊急の編集のため、誤字や文法的に不正確な文章が多く見られる可能性があります。

2022年2月23日水曜日

しかしダブルスピーク[二重語法]とは実に相対的な概念である【未来ノートコラムA・第13回】

 ジョージ・オーウェルが第二次大戦終結後に発表したディストピア小説『1984年』には、ダブルスピークという概念が登場する。日本語にすると、凡そ「二重語法」などとされる。国民の福祉や、あるいはある程度知識を持つ階級に対して極度の言論規制を張る全体主義国家オセアニアにおいて、住人は生まれた時から洗脳教育を施され、完全に国家に忠実な人間とされる中で、その理性的な思考も奪われ、明らかに文明的な価値観からすれば誤った物事も、正しいものだと思ってしまう。そんな支配の中で登場する概念だ。

全体主義国家オセアニアの省庁は作中でいくつか登場するが、その省の名前に最もこの概念ダブルスピークが表れている。

2022年2月14日月曜日

多数決文化との決別【未来ノートコラムA・第12回】

多数派がいつも正しいとは限らない、それはいつだって

 小学校の算数の授業で、アナログ時計は一日に何回長針が短針を追い越す(=重なる)かという問題が出されたという。選択肢は、21回、22回、23回、24回、25回の5つであった。

当然ながら、答えは22回である。算数的なテクニックを使えば2秒で求まる問いだが、冷静に一つずつ考えてもそう時間はかかるまい。午前中は、まずいきなり0:00に追い越しが行われ、次に1時台には1:05頃に追い越し、2時台には2:11頃に、3時台には3:16頃に、4時台には4:22頃に………と続いていって、10時台には10:55頃に追い越しが行われる。そして次の11時台だが、11時以降の短針と長針との追いかけっこは、正午12:00に決着がつく。この時点で、もう時刻は「午後」に入っているため、これは午後に行われた追い越しとカウントされる。よって、11時台には追い越しが行われず、午前中に行われる追い越しの回数は11回。これが午後も行われるわけだから、11*2=22回が正解だ。

2022年1月27日木曜日

メディア小論【未来ノートコラムA・第11回】

 インターネットやSNS上では日々マスメディアを頻りに批判する人がいる。なぜ彼らはメディアを批判するかと言えば、理由は決まって彼らは自分たちをマイノリティだと感じているからだろう。自分たちや自分たちの主義主張がマイノリティでなくていけないのは、こういったメディアが自分たちと違う誤った方向にマジョリティたる大衆を導いているからだと思っているのだ。

ただ一つ留意すべきなのは、NHKとか読売新聞とか朝日新聞とかの個々の報道者を個々に批判するのではなく、こういう按配で社会の存在するメージャーなメディアを一括りにして彼らはよく批判しているということだ、例えば、元首相の安倍晋三氏は、慰安婦問題などに関してたびたび朝日新聞を批判するが、これは個々の報道者に対するものなので、私が示すことには該当しない。

2022年1月26日水曜日

例えは時に害になる【未来ノートコラムA・第10回】

 前々からこの手の記事を書こうと思っていたが、遂に憂えていたことが起きてしまったので、書き起こすことにした。

毎日新聞:菅直人氏、維新を「ヒトラー想起」とツイート 橋下氏、松井氏は猛反発

ヒトラーと言えば、第一次大戦後のドイツに現われ、国民からの支持を受けて権力を掌握し、ホロコーストなどの非人道的な行為を行いながら、ドイツを破滅的な戦争へと導いた悪名高き独裁者であるが、菅元首相は、日本維新の会の創設者橋下徹氏やその党に関して、そのヒトラーを想起させるとTwitterで表明したのだ。

2022年1月15日土曜日

人類史終わりへの肯定と疑念【未来ノートコラムA・第9回】

人類史とは何であったか

 人類の歴史、少なくとも近世以降の人類史は、イデオロギー闘争の歴史だったと言われています。イデオロギー闘争とはどういうことかと言えば、国の最も大まかな方針を定める綱領(成文不文両方含まれる憲法や慣習のようなもの)を如何なものにするか、あるいは具体的な政策を執り行うか否かなど、あらゆる考え方の違いを巡り、人々が口論から流血を伴う大戦争などまで様々な形で争ってきたということです。今私が使った「考え方」という言葉は実に抽象的なもので、具体例を挙げるなら「××家がこの国を治めるべきだ」「この国には共産主義体制を敷こう」「この集落の川には橋を架けるべきではないか」「全ての人に身体の自由が保障されるべきだ」「COVID-19対策のために経済を犠牲にすべきではない」など、本当に様々な事が想定されます。

そんなイデオロギーの差異に端を発して、人類はその3000年以上の歴史の中で、単なる個人の間の言い争いから、世界の二勢力による大戦争までをも起こしてきたわけです。

2021年12月11日土曜日

安全保障と民主主義【未来ノートコラムB・第8回】

 今年4月にこのブログを開設しましたが、その2021年ももうすぐ終わろうとしています。未来ノートが始まってから最初のコンテンツは「偽りの平和主義と戦う」という名のシリーズで、全10回に渡って連載したかと思います。このシリーズでは、私は人権はそれに基づく民主政治が世界に普及することの重要性を指摘したうえで、現在の日本の安全保障政策が執るべき方向について、リアリズムに基づいて説きました。

しかし、あの頃は、と回顧しますが、今私自身であの文章を最初から最後まで読み通していくと、何となく今と比べての文章力の低さや、稚拙な論理を感じるのであります。そこでこの記事では、「偽りの平和主義と戦う」で述べた内容を踏襲しつつ、2021年12月現在の私の日本と世界の安全保障やそれにまつわる事柄についての認識を示したうえで、現状を確認し、今後執るべき方策を提示していこうと考えます。

選抜記事

多数決文化との決別【未来ノートコラムA・第12回】

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