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2023年5月6日土曜日

国際情勢の今後を「予想」する作業にどれほどの意味があるのだろうか【未来ノートコラムA・第20回】

 ロシア軍がウクライナに侵攻して戦争が始まって以来、世論は世界情勢が自分たちに与える負の影響をいっそう憂慮するようになった。戦争や国際関係が直接日本に与える安全保障のリスクは当然のこと、これらはエネルギーや物資の価格など、人々の日常生活にも経済的な面で大きな負荷を与える可能性が高い。その流れの中で、人々の国際ニュースへの関心が高まっていく。

ウクライナ戦争について解説する有識者の中には、この戦争の将来の展望をある程度予想するような人がいる。このような国際情勢の展開の「予想」は、上述のように国際情勢の影響の自分たちへの波及を憂えている人々を中心に、多くの人の関心を集めやすい。だが、関心の高い事柄であるからと言って、そのような識者たちの「予想」が概ね本当に信頼に値するものなのかどうかは、別の論点の話だ。

2023年1月28日土曜日

SNSメディアの効用とストレス源性【未来ノートコラムA・第19回】

 Yahoo!ニューストピックにこんな記事が上がっていたので紹介する。

Yahoo!ニュース(NATIONAL GEOGRAPHIC):「昔より世の中は悪くなっている」 SNSの見過ぎでゆがむ認知、抜け出す方法は【科学で明かす身近ななぜ】

この記事によれば、人々がSNSニュースを見てストレスを感じるのは、実は人間が持っている、様々な危機に乗り遅れないようにしようとする本能が、認知を歪ませている結果だというのだ。これは人類の持つ動物的な習性のうちの一つで、不安を生じさせるようなネガティブな情報ほど、人は過敏に反応し、重く長期間にわたって受け止めるというのものだそうだ。それに加えて、マスメディアというものは、基本的に世間の問題点や負の側面を中心に報道する。これを通じて社会の改善を訴えようとしているからだ。逆に肯定的な報道は、否定的な報道よりも意味を為しにくい。

2023年1月24日火曜日

同一性を示すのに意味は無い【未来ノートコラムA・第18回】

 民主主義を通じて政治的な議論を効率よく進め、共同体において共同の結論を出すためには、いくつか意識しておかなければならないことがある。

その一つが、「同一性を示すのは無意味」ということだ。具体的にどういうことだろうか。

例えば、ある人物が、リンゴを見て「このリンゴはイチゴのように赤い」と主張したとする。つまり、「リンゴ≒イチゴのような赤さ」と言っているわけだ。それに対して、別の人物は「いやいや、イチゴの赤みというのはもっと鮮やかだ。このリンゴはイチゴではなくむしろイチジクの赤みを持っている」と主張する。そうしてある一つの命題を巡っての対立が起こる。

2022年12月30日金曜日

弧を生きる

 近現代社会の複雑化は、民衆にマスメディアへの依存を強制した。今を生きる人間たちのコミュニティの繋がりは、より広範囲に拡大し、そして世界をも一つに統合しようというグローバル化の動きさえ今現在加速している。人間一人ひとりの価値・能力の意味がこれにより薄まっていく。残念ながら、現代を生きる人々は、巨視的な視点でなければ観察することができなくなった社会全体の動きを、もはや各々の力で捉えることはできなくなった。そして、その「視点」を独占するようなかたちで発達したのが、マスメディアであった。

2022年11月12日土曜日

Twitterどうなる?【未来ノートコラムB・第13回】

先月28日に大手電気自動車会社テスラのテクノキングであるイーロン・マスクCEOが、Twitter社の買収を完了し、企業およびサービス運営の改革に乗り出した。Twitter社は元来収入性の低い企業であり、2020年度から2021年度の決算は2年連続で赤字を計上していた。そのため、マスクは認証バッジの有料化や社員の半数(約3700人)解雇に取り組み、資金繰りの改善を試みた。

しかし、マスクがTwitterを買収して以降、その企業・サービス改革をめぐる経営混乱が続いている。11日には、マスクは社員に対してTwitter社の「倒産」があり得ることを警告し、社員に現状の打破への協力を求めた。買収が成立して約2週間だが、なぜこれほどまでに経営に関して不穏な空気が漂っているのか。

2022年8月28日日曜日

中国と日本の政治問題をめぐる遠藤誉氏の記事の書き方への疑問【未来ノートコラムB・第12回】

SNSに書こうと思ったが、長くなりそうなのでウェブログの方に記すことにした。

Yahoo!ニュース個人(遠藤誉):旧統一教会が牛耳る「日本の選挙の民主」と「中国の民主」_中国「わが国は民主的だ」世界ランキングで1位

まずはこの記事を読んでほしい。

満洲で生まれ、中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授を務め、中国や世界情勢を巡る国際政治の諸問題を研究する遠藤誉氏は、この記事において、日本の国内の政治問題と中国の政治問題をグローバルな調査を元にして、最終的に旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合、以下通称「統一教会」)と関わりが深い状態にあった日本の政治や選挙システムを批判している。

2022年2月23日水曜日

しかしダブルスピーク[二重語法]とは実に相対的な概念である【未来ノートコラムA・第13回】

 ジョージ・オーウェルが第二次大戦終結後に発表したディストピア小説『1984年』には、ダブルスピークという概念が登場する。日本語にすると、凡そ「二重語法」などとされる。国民の福祉や、あるいはある程度知識を持つ階級に対して極度の言論規制を張る全体主義国家オセアニアにおいて、住人は生まれた時から洗脳教育を施され、完全に国家に忠実な人間とされる中で、その理性的な思考も奪われ、明らかに文明的な価値観からすれば誤った物事も、正しいものだと思ってしまう。そんな支配の中で登場する概念だ。

全体主義国家オセアニアの省庁は作中でいくつか登場するが、その省の名前に最もこの概念ダブルスピークが表れている。

2022年1月27日木曜日

メディア小論【未来ノートコラムA・第11回】

 インターネットやSNS上では日々マスメディアを頻りに批判する人がいる。なぜ彼らはメディアを批判するかと言えば、理由は決まって彼らは自分たちをマイノリティだと感じているからだろう。自分たちや自分たちの主義主張がマイノリティでなくていけないのは、こういったメディアが自分たちと違う誤った方向にマジョリティたる大衆を導いているからだと思っているのだ。

ただ一つ留意すべきなのは、NHKとか読売新聞とか朝日新聞とかの個々の報道者を個々に批判するのではなく、こういう按配で社会の存在するメージャーなメディアを一括りにして彼らはよく批判しているということだ、例えば、元首相の安倍晋三氏は、慰安婦問題などに関してたびたび朝日新聞を批判するが、これは個々の報道者に対するものなので、私が示すことには該当しない。

2022年1月26日水曜日

例えは時に害になる【未来ノートコラムA・第10回】

 前々からこの手の記事を書こうと思っていたが、遂に憂えていたことが起きてしまったので、書き起こすことにした。

毎日新聞:菅直人氏、維新を「ヒトラー想起」とツイート 橋下氏、松井氏は猛反発

ヒトラーと言えば、第一次大戦後のドイツに現われ、国民からの支持を受けて権力を掌握し、ホロコーストなどの非人道的な行為を行いながら、ドイツを破滅的な戦争へと導いた悪名高き独裁者であるが、菅元首相は、日本維新の会の創設者橋下徹氏やその党に関して、そのヒトラーを想起させるとTwitterで表明したのだ。

2021年10月14日木曜日

朝日だけではない【未来ノートコラムA・第7回】

 昨月29日に行われた自由民主党総裁選挙では、新人の岸田文雄氏が勝利し、その後すぐに党総裁として役員人事が決定され、彼が総理大臣に就任する翌月4日までには、彼の内閣の人事がだいたい定まっていた。

一方で、総裁選一夜明けた30日夕刻、朝日新聞が「自民党の岸田文雄総裁は萩生田光一文科相を官房長官に充てる方針を固めた」という旨の報道を行った。「~する方針を固めた」というのは、そうなることが決定的だということを示す時に使われる報道表現なので、官房長官は松野博一氏になった訳だから、結局この朝日の報道は誤報となってしまったわけだ。

2021年8月6日金曜日

COVID-19ワクチン接種後の有害事象をどう考えるか【未来ノートコラムB・第3回】

今まで5回に渡って記事を書いてきた【ロゴスと情報戦】なのだが、最近書くべきことが「論理的思考」や「情報戦」に限らない、より広い分野に展開してきたので、いっそ表題を変えて、一般的な「時事評論」をするという趣旨で、【未来時事評論】とすることした。なお、回数の通し番号は「ロゴスと情報戦」からの通しで、そしてもともとあった「ロゴスと情報戦」全5回の表題は、そのままにしておくことにした。

いきなり暗い話題になってしまうのは申し訳ないが、先日8月3日、中日ドラゴンズの木下雄介投手が死去した。27歳であった。

2021年6月30日水曜日

論破するって何?【未来ノートコラムA・第3回】

 「論破」という単語を聞けば、みなさんが真っ先に想像するのは、現在YouTubeやテレビやらで圧倒的人気を誇り、2ちゃんねる創設者として知られるひろゆきこと西村博之氏でしょう。彼は、「論破王」という異名を持っている通り、他の人を論述などで言い負かすという、誰もが一生に一度はみんなの前でやってみたいような話術に長けていて、「論破」のための本まで出しているのです。

論破とは、相手の主張する説や主義などを、自分が駆使する論述などで、だんだん矛盾を引き起こさせ、最終的にその矛盾を突いたりなどして、相手を口が開けなくするようにする話術の事です。

今回は、その「論破」について少し考えてみようと思います。

2021年5月29日土曜日

一括対比で大衆を欺瞞する話術【未来ノートコラムA・第1回】

 こんにちは。「偽りの平和主義」シリーズが無事完結し、次は何の記事を書こうかな…と思ったところで、そうだ、ハンナ・アーレントに関する話題を扱っていこうということで、新シリーズを書き始めようと考えたのですが、だいぶ文章がつまらなくなったり、書いているうちに退屈になったりして、いつもの調子が出ないので、今後は「偽りの平和主義」とは異なる、「定期更新」という形で、形式が少し緩いシリーズを書き始めていこうと思います。

その名も「ロゴスと情報戦」。

2020年のコロナ危機から始まった、米中両国の情報戦は世界を巻き込み、そして日米など言論統制が行われていない国家は、その反面誤情報が頻繁に流通するようになりました。しかし、このような「誤情報」、あるいは「偏向」が仮にあったとしても、それを理性でもって解析していけば、必ず素人でも判別できるのではと考えました。このシリーズでは、情報戦を論理で制するための参考として、読んでいただければ幸いです。

選抜記事

多数決文化との決別【未来ノートコラムA・第12回】

多数派がいつも正しいとは限らない、それはいつだって  小学校の算数の授業で、アナログ時計は一日に何回長針が短針を追い越す(=重なる)かという問題が出されたという。選択肢は、21回、22回、23回、24回、25回の5つであった。 当然ながら、答えは22回である。算数的なテクニックを...

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