事実認識を整えるのは非常に難しい問題だ。前提として、世界は常に多種多様な事象が途切れることなく連続的に発生しており、因果関係が至る所に存在する。それはまるで植物の「根」のように複雑で、秩序が無く、そして捕捉するのが難しい。それでも人類は、いにしえの時から何とかそれを秩序付けようと、観察、実験や思考実験などを経て、科学を発展させてきた。
そうして、この混沌とした「根」の集合体であるこの世界を細部まで分解しながら観察し、現代の科学はここまで発展してきた。ここにおいて、現代の科学は、本質的には「根」のように混沌している世界を、どうにか秩序を持つ「木」のような構造に組み直そうとした試みによって成立していると言える。しかし、数千年の時を経て、人類が科学の核心へ迫るに迫るうちに、せっかくつくった「木」の構造さえも、いつの間にか「枝」のような混沌とした構造に戻ってしまった。