2022年1月27日木曜日

メディア小論【未来ノートコラムA・第11回】

 インターネットやSNS上では日々マスメディアを頻りに批判する人がいる。なぜ彼らはメディアを批判するかと言えば、理由は決まって彼らは自分たちをマイノリティだと感じているからだろう。自分たちや自分たちの主義主張がマイノリティでなくていけないのは、こういったメディアが自分たちと違う誤った方向にマジョリティたる大衆を導いているからだと思っているのだ。

ただ一つ留意すべきなのは、NHKとか読売新聞とか朝日新聞とかの個々の報道者を個々に批判するのではなく、こういう按配で社会の存在するメージャーなメディアを一括りにして彼らはよく批判しているということだ、例えば、元首相の安倍晋三氏は、慰安婦問題などに関してたびたび朝日新聞を批判するが、これは個々の報道者に対するものなので、私が示すことには該当しない。

2022年1月26日水曜日

例えは時に害になる【未来ノートコラムA・第10回】

 前々からこの手の記事を書こうと思っていたが、遂に憂えていたことが起きてしまったので、書き起こすことにした。

毎日新聞:菅直人氏、維新を「ヒトラー想起」とツイート 橋下氏、松井氏は猛反発

ヒトラーと言えば、第一次大戦後のドイツに現われ、国民からの支持を受けて権力を掌握し、ホロコーストなどの非人道的な行為を行いながら、ドイツを破滅的な戦争へと導いた悪名高き独裁者であるが、菅元首相は、日本維新の会の創設者橋下徹氏やその党に関して、そのヒトラーを想起させるとTwitterで表明したのだ。

2022年1月23日日曜日

明らかに中心にいるのは…

 のび太のテストの点数と言えば0点。のび太の腕力はジャイアンの3分の1にも満たず、しずかの半分しかない。意志も薄弱である。そういう点から、のび太は日本で最もダメな小学生だというイメージは多くの人が持っている。でも、原作者藤子・F・不二雄は、のび太のモデルは藤本自身だと語る。確かに、彼は小学生時代スポーツが苦手で意志も弱いところがあったと語っている。ただ、藤本自身がのび太のイメージのように日本一ダメな小学生のような存在だったかと言えばそんなはずはない。

のび太が作中でより愚かしく弱弱しく描かれるのは、ギャグの側面もある。もし日本一ダメな小学生なら、読者からは嘲笑され、共感の対象とはなり得ない。多くの読者が彼を主人公と認識したのは、より多くの読者の姿がのび太の姿に体現されているからではないだろうか。表向き、ほとんどの読者たちは作中ののび太の姿を見て嘲笑し、バカの典型例として語り継いでいるかもしれないが、心の底では共感の想いを寄せている。のび太は、日本一ダメな小学生ではなく、日本一ありふれた小学生なのだと思う。

2022年1月22日土曜日

アニオリ・オブ・ザ・イヤー

 藤子不二雄の漫画作品『ドラえもん』のアニメでは、原作にある10~20ページ程度の作品を、10~20分くらいの尺でアニメ化したものが放送される。しかし、尺の都合や、テレビ放送などとの関連から、当然ながら原作を多少アレンジして放送することもあり得るのだ。場合によっては、物語の構図を大幅に変えてアニメ化することも許される。

一方で、このような原作漫画作品のアニメ化以外にも、ドラえもんのアニメにはアニメオリジナル作品(以下「アニオリ」)が放送されることもある。なぜアニオリが放送されるのか。例えば、1979年4月から放送が開始された大山版のアニメでは、当初(~1981.9)月曜日から土曜日までの平日に一日当たり一話が放送されていた。つまり、一か月に25話の作品がアニメ化されたことになる。ただ一方、1979年のアニメドラえもんの放送開始時点で、原作ドラえもんは小学館の月刊学年誌それぞれに1話ずつ、合計6話の新作が発表される。つまり、6話の原作を作者が作るうちに25話近くのアニメ作品が作られるのだ。こうなると慢性的な原作不足が続く。

2022年1月15日土曜日

人類史終わりへの肯定と疑念【未来ノートコラムA・第9回】

人類史とは何であったか

 人類の歴史、少なくとも近世以降の人類史は、イデオロギー闘争の歴史だったと言われています。イデオロギー闘争とはどういうことかと言えば、国の最も大まかな方針を定める綱領(成文不文両方含まれる憲法や慣習のようなもの)を如何なものにするか、あるいは具体的な政策を執り行うか否かなど、あらゆる考え方の違いを巡り、人々が口論から流血を伴う大戦争などまで様々な形で争ってきたということです。今私が使った「考え方」という言葉は実に抽象的なもので、具体例を挙げるなら「××家がこの国を治めるべきだ」「この国には共産主義体制を敷こう」「この集落の川には橋を架けるべきではないか」「全ての人に身体の自由が保障されるべきだ」「COVID-19対策のために経済を犠牲にすべきではない」など、本当に様々な事が想定されます。

そんなイデオロギーの差異に端を発して、人類はその3000年以上の歴史の中で、単なる個人の間の言い争いから、世界の二勢力による大戦争までをも起こしてきたわけです。

2022年1月8日土曜日

スネ夫の無敵砲台【ドラえもん傑作ファイル・第9回】

 今回紹介するのは、後期作品『スネ夫の無敵砲台』。第6回の『設計紙で秘密基地を!』に続いて軍事関連のネタが入ったお話をここで紹介させていただこうと思います。

●基本データ
初出:「小学六年生」1985年10月号
単行本:「てんとう虫コミックス『ドラえもん』」第39巻第19話
大全集:第13巻第67話
アニメ化:1986年「無敵砲台」、2008年

▲以下ネタバレ注意!

選抜記事

多数決文化との決別【未来ノートコラムA・第12回】

多数派がいつも正しいとは限らない、それはいつだって  小学校の算数の授業で、アナログ時計は一日に何回長針が短針を追い越す(=重なる)かという問題が出されたという。選択肢は、21回、22回、23回、24回、25回の5つであった。 当然ながら、答えは22回である。算数的なテクニックを...

多読記事