2021年6月7日月曜日

時限バカ弾【ドラえもん傑作ファイル・第4回】

 今回は、ドラえもん話題で久しぶりの投稿となります。今日取り上げるお話は、後期作品「時限バカ弾」です。爆発に巻き込まれると「バカ」なことをしてしまうという爆弾が登場する話です。

それではどうぞ。

●基本データ●
初出:「小学三年生」1985年7月号
単行本:てんとう虫コミックス「ドラえもん」第41巻第10話
全集:第15巻第81話
アニメ化:1985年、2006年「ひょうきんな出木杉!?コチコチコチ…ボン!時限バカ弾」、2018年

▲以下ネタバレ注意!


1.あらすじ

東京ディズニーランドに出かけたことを、しずかに語る出木杉。現在では誰もが一度は行ったことがあるとされるTDLですが、当時は1985年。営業開始の1983年4月からたった2年しか経っていないご時世で、このタイミングでTDLへ行った経験があるのは当時は珍しかったのではないかと推測します。

それはともかく、のび太は出木杉の話の面白さが分からないのか、「いちばんよかったのは、立体映像かなあ」→「映像がええぞー、なんちゃって」、「大スクリーンの迫力は...」→「大スクリーンよりアイスクリームの方がおいしいよ」と言うたびに、文字通り白けた発言をしてしまい、しかも皮肉なことに出木杉ではなくしずかに「バカなことを言うな」と言われてしまいました。

のび太は無気になって彼らと別れますが、家の玄関先には、彼に説教をしようとする玉子のすがたが。のび太はドラえもんに、2時間くらいかかりそうなお説教を、5分ぐらいで終わらせてくれるよう懇願します。一方で、居間に降りると、のび太は「またまた、そんなこわい顔しちゃって。明るく楽しくパーッといこうよ。」と火に油を注ぐような発言。

さすがに見かねたドラえもんは、「時限バカ弾」なる道具をポケットから取り出し、彼がお願いしたようにタイマーを5分でせっとして、玉子の背中に取り付けます。そして、バカ弾が破裂した瞬間に、玉子は「ベロベロバァー、オッペケペッポーペッポッポー、アジャラカモクレン!」と叫びながら踊り、「バカ」な事をしてしまいました。「バカな事」とはそういうことだったのですか。

ともかく、恥ずかしくなった玉子はこれきりお説教をやめてしまいます。でも、成功したとはいえ、ドラえもんの「お説教を短く終わらせる」ための道具のチョイスは不明な点が多い。

すると今度は、のび太はこのバカ弾をドラえもんにねだり、「変なことに使わない」ことを条件に貸してもらいます。そして彼は、先ほどの腹いせか、出木杉にこれをつけてバカな真似をさせようと企みます。でも、さっきのび太に「バカな事」と言ったのはしずかちゃんじゃなかったけ?

そんなツッコミもお構いなしに、のび太は出木杉にバカ弾を取り付けようとしますが、偶然にもそこにいたジャイアンとスネ夫でまずテストすることに。

ジャイアンは、スネ夫に1人リサイタルを持ち出していて、今度の新曲は悲しい曲とのこと。

今度の新曲は心にしみる悲しい曲だ。良いと思ったら遠慮なく泣け。

もう泣きたいよ。

おいらの~胸の心はよぉ~星に流れて~夜霧の、むせぶよぉ~♬お~、あの子は二度と帰るぞぉ~~♬

夜霧がむせぶってどういう状態だ。

のび太の計画通り、バカ弾は破裂して、ジャイアンはバカな真似をします。そしてそれに大笑いをしたスネ夫に対して、正気に戻ったジャイアンは「これは笑う歌じゃねえ!」とブチ切れます。

話は本筋に戻ります。のび太は善人を装って、先ほどのTDLの話を聞きたいと、バカ弾を付けた彼を、しずかの家へと誘い込みます(静香の前でバカなことをさせるため)。「早く早く爆発しないうちに!」と悪しき計画が少しのび太の口から漏れ出ていますが、出木杉にはさすがにわからない様子。途中では、のび太が誤って水たまりをかけてしまった出木杉の服を洗濯する出木杉のママ(レアキャラ)がバカ弾の被害に遭うというハプニングが起きましたが、無事に再び出木杉にバカ弾を設置して源家に到着します。

静香の部屋の中で集まる3人。出木杉は楽しそうに何かを話し、しずかは興味深そうにそれを聞き、そしてバカ弾破裂を今か今かと待ち続けるのび太がいます。

しかし突然、しずかが立ち上がり、出木杉のための面白い本を紹介しようとします。そして、出木杉の背中側に回ったところで、彼の底に何かが付いていることに気づきます。それを手に取って、

なにかしら?」と静香。

しずかにだけは「バカ」になって欲しくはないと、我を忘れてのび太は、彼女からバカ弾を取り上げます。その瞬間に、

「ボン!」

なんと最後はのび太がしずかの前で「バカ」な真似をしてしまうはめに。これぞ正に因果応報というものなのか。そして出木杉の運が強すぎる!!


2.考察

やはり、この回は「のび太が道具を乱用した結果ひどい目に遭う」話の典型例であり、それ以外に際立った特徴はなさそうです。しかし、並みの話とは違って、この話はドラえもんファン以外からもそこそこのレベルで有名です。その原因として、上の「あらすじ」欄にも挙げましたが、

  • 出木杉の運が強すぎる
  • ジャイアンの歌の歌詞がすごすぎる
  • のび太がいつも以上に「バカ」だ
  • レアキャラである出木杉の母親が登場する

といった、普段の話にはない、イレギュラーなことが重なって作中で発生しているのです。それが、ドラえもんファンを超えて、話題になっているのではないでしょうか。

短いですが、ここで終わりにさせていただきます。

(2021.6.6起草)
(2021.6.24公開停止)
(2021.8.11再公開)


3.引用

セリフの引用は、以下の書籍・テレビ番組から行っています。いずれも、著作権者の権利の侵害を目的とするものではありません。

  • 藤子・F・不二雄、小学館『ドラえもん(41)(てんとう虫コミックス)』
  • テレビ朝日『ドラえもん』2018.10.22放送



前回:『ぞうとおじさん』

次回:『ペンシル・ミサイルと自動しかえしレーダー』

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