2021年9月21日火曜日

見えてきた各人の思惑【未来ノートコラムB・第4回補足】

 今回の自民党総裁選の大まかな構図が見えてきたようだ。立候補者が4人と大混戦と呼ばれるが、対立構図で分けると、きっぱりと2つに分かれるのだ。各候補者たちと、それを取り巻く政治家たちの思惑を以下に示す。恐らく、これまで自民党を支配していた「2A連合」と、それに対抗する改革派の「小石河連合」との対立構図ではないか。もちろん、両陣営とも一枚岩ではないのだが。なお、以下敬称略。

2Aとそれを取り巻く人々

安倍晋三「一度落ちた自身の党内における権力を完全に取り戻すために、盟友麻生と協力して岸田を支援したいが、自身に関わる疑惑である森友問題などの再燃は防ぎたいので、文書改竄問題の再調査を匂わせている岸田ではなく、自身と政策的にも近い高市を推していきたい。」

麻生太郎「自身の派閥の出身である河野は名目上は推すが、もし自分とある程度距離を持つ若手の彼が総理総裁となると、自分は隠居の身として影響力を削がれる可能性があるため、むしろ河野ではなく岸田の方を支援したい。なお、高市は自身と対立するため支援はしない。」

岸田文雄「安倍政権時代から、総理に最も近いと言われてきたこともあり、絶対に総理総裁になるために出来ることを尽くす。ただし、安倍や麻生とは距離を保ちつつ、河野とは違う方向性で政治改革に乗り出していきたい。」

高市早苗「自分が他の党内保守派と共有してきた理想の国家観を実現させるため、安倍と協力して女性初の第100代総理の座を手に入れたい。」


小石河連合とそれを取り巻く人々

菅義偉「安倍と麻生にはしごを外され、結果的に退陣せざるを得なくなった以上、今の支配層であるこの2人に復讐をするため、自身の右腕として働いた河野を総理総裁にすることで、再び影響力を取り戻したい。」

河野太郎「自身が菅政権下でも推し進めてきた政治改革と、さらに党内改革を進めるために、このトップを目指す絶好のチャンスで一気に総理総裁に登り詰めたい。」

小泉進次郎「菅内閣の一員として、先輩である河野と手を組んで活動してきたこともあり、河野が総理総裁になるために彼を支援しつつ、ゆくゆくは次の世代の総理総裁に自分がなるための道を作ってゆきたい。」

石破茂「安倍や菅に先の総裁選で敗れて以来、ずっと『地下生活』を送ってきたが、自分と政策が比較的近い河野に接近して、彼を支援して総理総裁にすることで、影響力を復活させたい。」


実は、他にも二階と野田にも各々の思惑があるのだが、もはやそこまで重要ではないのでここでは省く。

(2021.9.21)


前回:自民党総裁選の軸は誰なのか

次回:総裁選各候補の勝利確率と不安定要素


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