2023年1月24日火曜日

同一性を示すのに意味は無い【未来ノートコラムA・第18回】

 民主主義を通じて政治的な議論を効率よく進め、共同体において共同の結論を出すためには、いくつか意識しておかなければならないことがある。

その一つが、「同一性を示すのは無意味」ということだ。具体的にどういうことだろうか。

例えば、ある人物が、リンゴを見て「このリンゴはイチゴのように赤い」と主張したとする。つまり、「リンゴ≒イチゴのような赤さ」と言っているわけだ。それに対して、別の人物は「いやいや、イチゴの赤みというのはもっと鮮やかだ。このリンゴはイチゴではなくむしろイチジクの赤みを持っている」と主張する。そうしてある一つの命題を巡っての対立が起こる。

2023年1月6日金曜日

混沌世界と凡人科学【未来ノートコラムA・第17回】

 事実認識を整えるのは非常に難しい問題だ。前提として、世界は常に多種多様な事象が途切れることなく連続的に発生しており、因果関係が至る所に存在する。それはまるで植物の「根」のように複雑で、秩序が無く、そして捕捉するのが難しい。それでも人類は、いにしえの時から何とかそれを秩序付けようと、観察、実験や思考実験などを経て、科学を発展させてきた。

そうして、この混沌とした「根」の集合体であるこの世界を細部まで分解しながら観察し、現代の科学はここまで発展してきた。ここにおいて、現代の科学は、本質的には「根」のように混沌している世界を、どうにか秩序を持つ「木」のような構造に組み直そうとした試みによって成立していると言える。しかし、数千年の時を経て、人類が科学の核心へ迫るに迫るうちに、せっかくつくった「木」の構造さえも、いつの間にか「枝」のような混沌とした構造に戻ってしまった。

2022年12月31日土曜日

2022年の最後に

 今年もあと二三時間で終わりそうだ。昨年の大晦日にも、「2021年の最後に」という題で一年の振り返り記事を書いたが、今年は昨年のその記事よりは手短にまとめようと思う。

まず世相について。今年はウクライナでの戦争が、世界の出来事を中心となって動かしていた。詳しいことは「安全保障と民主主義 その2」などの記事で書いたが、一つ私が感じたのは、やはり今の国際社会では「倫理観」に優越していることが、非常にこちらに利をもたらし得るのではないかということ。もちろん、ロシア側にも自分たちなりの「大義」があったはずなのだが、現在の物質的な戦況や、世論などの情勢を見る限り、それは倫理的に優であるというには及ばないものであるということなのだろう。

2022年12月30日金曜日

弧を生きる

 近現代社会の複雑化は、民衆にマスメディアへの依存を強制した。今を生きる人間たちのコミュニティの繋がりは、より広範囲に拡大し、そして世界をも一つに統合しようというグローバル化の動きさえ今現在加速している。人間一人ひとりの価値・能力の意味がこれにより薄まっていく。残念ながら、現代を生きる人々は、巨視的な視点でなければ観察することができなくなった社会全体の動きを、もはや各々の力で捉えることはできなくなった。そして、その「視点」を独占するようなかたちで発達したのが、マスメディアであった。

2022年12月19日月曜日

安全保障と民主主義 その2【未来ノートコラムB・第14回】

2022年も終わりに近づいている。本ブログ「未来ノート」では昨年と同様にこの12月に日本と世界とを巡る安全保障情勢の総括記事を書こうと思う。昨年の記事では、世界情勢に関連して、新冷戦、民主主義の優位性などについて述べた。今年いちばんの国際社会に影響を与えた出来事は、ロシアによるウクライナへの侵略だ。今年は、これらの出来事の経緯を踏まえたうえで、日本が採るべき安全保障政策の具体像に迫ってみよう。

2022年11月12日土曜日

Twitterどうなる?【未来ノートコラムB・第13回】

先月28日に大手電気自動車会社テスラのテクノキングであるイーロン・マスクCEOが、Twitter社の買収を完了し、企業およびサービス運営の改革に乗り出した。Twitter社は元来収入性の低い企業であり、2020年度から2021年度の決算は2年連続で赤字を計上していた。そのため、マスクは認証バッジの有料化や社員の半数(約3700人)解雇に取り組み、資金繰りの改善を試みた。

しかし、マスクがTwitterを買収して以降、その企業・サービス改革をめぐる経営混乱が続いている。11日には、マスクは社員に対してTwitter社の「倒産」があり得ることを警告し、社員に現状の打破への協力を求めた。買収が成立して約2週間だが、なぜこれほどまでに経営に関して不穏な空気が漂っているのか。

2022年11月11日金曜日

未来時事ノート 再編

本日付で、「未来ノート」に属する記事の名称と分類を一部変更したので、お知らせする。

本ウェブログ「未来ノート」では、2021年5月から7月にかけ、「情報戦を論理で制するための参考として」の情報を提供するために、「ロゴスと情報戦」という名のシリーズを開始し、全5本の記事を出した。その後、同年8月に公開したその第6回で、「書くべきことが『論理的思考』や『情報戦』に限らない、より広い分野に展開してきた」という理由で、名称を「未来時事評論」に変更した。さらに10月にその名称を「未来時事ノート」に変更して現在に至っているという状況であった。

選抜記事

多数決文化との決別【未来ノートコラムA・第12回】

多数派がいつも正しいとは限らない、それはいつだって  小学校の算数の授業で、アナログ時計は一日に何回長針が短針を追い越す(=重なる)かという問題が出されたという。選択肢は、21回、22回、23回、24回、25回の5つであった。 当然ながら、答えは22回である。算数的なテクニックを...

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